医療現場の事務職に就きたいとお考えの皆さん。
クラークという聞きなれない言葉に出会い、お困りではないでしょうか。
クラークの仕事内容を調べてみても、いまいちピンと来ない方が多いと思います。
クラークを目指している方に、2年間外来クラークとして働いた私の経験を少しでもお伝えできればと思います。
外来クラークはとにかく忙しくて大変
最初に伝えたいのは、外来クラークの忙しさについてです。
クラークには2種類あります。
入院施設のある病院で、入院患者の対応をする病棟クラークと、
入院施設のない病院で、外来患者の対応をする外来クラークです。
入院患者と外来患者の大きな違いは、時間に余裕があるかどうかです。
入院患者は入院期間中、病院にいることが当たり前になります。
それに対して外来患者は、1日の中で病院に行く時間を割いて、病院に来ます。
つまり、病院にいる時間が早く終わることを強く望んでいます。
外来患者を対応する外来クラークが、スピード感を求められるのがお分かりいただけたかと思います。
外来クラークになった私はまず、外来の忙しさに圧倒されました。
私の所属していた病院では1人の先生に1人クラークが配置される形でした。
患者を診察室に呼び込み、診察が終わったら外の待合室に移動させる。
医師が検査の予約をすれば、検査の説明をする。
診察以外のことをクラークがおこなう、というイメージです。
一見単純な仕事ですが、ここにスピード感が必要とされます。
それを全ての患者の診察が終わるまで繰り返していきます。
患者一人ひとり異なる対応を、診察の流れの中で効率よく進めていく技術が必要です。
新人の頃は、先輩が仕事をしている後ろをとにかく追いかけて、何をしているのかを見て学びました。忙しさに慣れることが最初の一歩だと言えます。
外来クラークは他部署との連携が大変
2つ目に挙げるのは、他部署との連携が必須だということです。
医師の指示によって、患者が診察の後に何をするかが決まり、クラークの行動も決定します。
行動の内容は様々ですが、どの指示も「患者を別の部署へ引き渡す」ということが共通しています。
検査が必要であれば検査室へ連絡を入れる、という具合です。
そのため、病院内の全ての部署のことを把握しておく必要があります。
私は自分の仕事を覚えるのと同時に、他部署のルールを覚えるのにも苦労しました。
さらに、クラークが最も連携しなければならないのが、医師です。
的確に指示を出してくれる医師、言葉足らずで確認事項だらけの医師、まさに十人十色です。
クラークの中で医師の情報交換をすることも、自分がスムーズに仕事を進めるための知識になります。
経験を積むうちに、他部署との連携のためにしなければならないのは、色々な人と話をして情報を増やしていくことだとわかりました。
外来クラークと聞くと、患者との対応に焦点が向くと思います。
しかし患者以上に病院内のスタッフとの対連携にも力を注ぐ必要があると考えます。
クラークにはコミュニケーション力が求められると言えるでしょう。
外来クラークは患者の命を預かるので大変
最後に挙げるのは、医療業界では当たり前のことです。
この当たり前のことを、私は失敗から学びました。
ある日診察に来た患者の状態が悪く、医師は至急、採血の検査の指示を出しました。
採血で調べる項目を検査室へ依頼するのが私の仕事でしたが、その項目のうち重要な1つのチェックが漏れてしまいました。
一刻も早く診断を下さなければならない場面で患者を待たせてしまう、というミスでした。
この時「他人の命を預かる現場で仕事をしている」ということを理解しました。
それには責任が伴うこと、してはならないミスがあることを痛感しました。
もう1つ、命を預かる責任を感じた件があります。
患者の家族から、患者本人の病状や今後の治療方針について何度も聞かれることがありました。
医師は説明済みと見なして家族に会おうとしませんでした。
この場合に家族に対応するのはクラークしかいません。
患者の命を守ろうと家族は必死で、同時に不安で一杯だったでしょう。
その不安を和らげるため、あらゆる情報を集めて、誠意を持って説明に臨んだことを今でもはっきり覚えています。
他人の命を預かる現場に立つ覚悟があるか、もう一度自分に問いかけてみてください。
外来クラークは大変だけど、やりがいがある
以上のことをまとめると、外来クラークの大変さは以下のようになります。
1.日々の外来が忙しく、仕事にはスピード感が必要。
2.他部署との連携が必須なので、コミュニケーション力が必要。
3.患者の命を預かるという責任と覚悟が必要。
医療現場の事務、という一言からは想像できない、現場の声を伝えさせてもらいました。
私の経験が就職や転職を考えている皆さんのお役に立てれば幸いです。
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