この記事にたどり着いた皆さんは、「派遣エンジニアは使えない」と思っているのではないでしょうか。確かに「派遣エンジニアで使えない」人も世の中にはいます。しかし、一口に「派遣エンジニアは使えない」と一括りにまとめてしまってよいのでしょうか。
私は派遣エンジニアとして働いたこともあり、また受け入れる側にいたこともあります。そのため、派遣エンジニアの様々な側面を見てきました。
両者の立場で様々な派遣エンジニアの方と接していきたことを踏まえ、今回は良い関係を築きプラスに繋げるための方法を解説します。
「派遣エンジニアは使えない」は本当!?
派遣エンジニアが使えないと言われる背景・現状について解説していきます。
何故「派遣エンジニアは使えない」と言われるのか?
派遣エンジニアが使えないと言われる理由として、「仕事に対して意識が低い」「すぐに辞める」「正社員と比べて質が悪い」といったことが挙げられることが多いです。これは正しい意見でもあり、誤った意見でもあります。
この意見の背景を一つずつ考えてみます。まず、「仕事に対して意識が低い」という意見についてです。こう言われる理由を聞いてみると「与えられた仕事しかしない」「残業せずに定時に帰る」といった声が聞こえてきます。続いて「すぐに辞める」という点につきましては、読んで字面の通りですが仕事を教え慣れてきた頃に辞めてしまう人が多いという印象とのことです。そして最後に「正社員と比べて質が悪い」につきましては、上記2点が合わさった結果であったり、想定していた技術力を持ち合わせていなかったためという声を耳にします。
使えない派遣エンジニアが作られる背景
ここまで読んで、「やっぱり派遣エンジニアは使えない」と思った方もいるかも知れません。
しかし、これまでの話は派遣エンジニアを受け入れている側の一方的な意見です。この意見が全てでしょうか。視点を変えて、エンジニアとして派遣されている側の意見も聞いていただきたいと思います。
前提として考えていただきたいのは、派遣エンジニアの雇用主は派遣元の企業です。そのため、派遣エンジニアの評価を決めるのも派遣元の企業です。また、派遣エンジニアは派遣元の企業と派遣先の人事の間で決定されることが多く、現場の意見が吸い上げられず知らない間に決まった人が派遣されてくるということも少なくないというのが現状です。
その状況下でエンジニアは見知らぬ企業に派遣されてきます。
「派遣エンジニアは使えない」と言われているエンジニア側の意見
派遣されるエンジニアは派遣元企業から「残業代は派遣先に請求しなければならないから残業はするな」「契約で依頼されている内容以外のことは引き受けるな」等と言われ、契約記載以上のことをすると人事評価に響くということがあります。
実際、私も派遣エンジニアとして仕事をしていた際、派遣先の方が困られていたため契約記載以外の仕事を手伝い少し残業をしてしまったことがありました。結果、自分が所属していた派遣元から賞与減額が言い渡されたのでした。派遣元からは「契約外のことをやる場合には別途対応費用を先方に請求するためサービスとして勝手にやらないように」と言われたのです。
自分が所属している組織からの指揮命令下で働いているため、目立ったことをやり辛く居た堪れなくなり私は派遣エンジニアの業務からは手を引くことといたしました。他の派遣エンジニアも「決まった仕事しかできず意欲的に仕事が取り組めない」といった理由から辞めてしまう人も少なくないようです。また、派遣元都合で派遣先を選定して「エンジニアが辞めたので」という体で契約関係を取り止めることもあるようです。
このような背景から「意欲が低い」と見られることや「すぐ辞める」と言われてしまうことが多いように見受けられます。
使えない派遣エンジニアがいる場合の対応方法
もちろん、派遣エンジニアの方全員が派遣元からの制限で身動きが取れないわけではなく、人によっては自分の意志で「余計なことはしたくない」と思っている方や自由な働き方を好んでいる方もいます。しかし、本当は自分の意志ではないにも関わらずマイナスの印象を持たれてしまうと、お互い仕事がしずらい環境となってしまうのではないでしょうか。
派遣エンジニアが使えないと感じた場合は、派遣エンジニアの方と業務とは関係なく話をしてみてください。実は契約の内容や委託されている内容に乖離が生じているかもしれません。その場合は、契約内容の見直しや求めるエンジニアのスキル提示を現場の要望に合わせて変えていく試みをしてみてください。
派遣エンジニアが使えないとは限らない!?
今までの流れから、止むを得ず積極的に働けず板挟み状態となっているエンジニアも少なくないことを認識いただけたでしょうか。
これまでは派遣エンジニアが使えないと言われるケースについて紹介していましたが、良好な関係を築けている例をご紹介いたします。派遣エンジニアを受け入れている側の方から聞いたお話です。
最初は2名だけ派遣エンジニアを受け入れていたのですが、受け入れ後社内の仕事が円滑に回るようになったとのことです。徐々に良好な関係を築けたため、翌年から派遣元の会社から毎年追加でエンジニアを受け入れるようになり、今では受け入れ開始から5年で同じ会社から10名程度を受け入れて一緒に仕事をしています。
受け入れ先の企業の方からは「外の環境を知っている人が来ることで新鮮な意見を取り入れられるようになった」「社内で1から人を育てるのは教育費用がかかるので即戦力で助かっている」「社内の人間にも外部には優秀なエンジニアがいると知らせることで刺激になっている」といった好意的な意見が聞こえてきました。
具体的な例を1社取り上げましたが、他の企業からも受け入れるメリットを語られる声があがっています。デメリットが多ければ派遣エンジニアの事業は衰退するはずです。しかし、需要が多いため必要とされている事業となり多くの企業が展開しているのです。
まとめ:「派遣エンジニアは使えない」という考えからの脱却
これまでのお話から、一括りに「派遣エンジニアは使えないとは言えない」と思っていただけたでしょうか。
これから労働人口は減少傾向にあります。昨今では特に理系の学生の減少が顕著になっており、労働人口の中でもエンジニア確保に苦戦するのは目に見えています。1から社内でエンジニアを育てるのも教育コストがかかります。そういった見通しが立っているからこそ、派遣エンジニアの需要が高まっているのです。
派遣されてきたエンジニアの方にも事情があることを汲み取った接し方をすることや、その方ともっと仕事をしたいと思ったときには現場から声をあげることで派遣エンジニアと良好な関係を築くことができます。
「派遣エンジニアは使えない」と嘆く前に派遣エンジニアの方と話をしたり、現場の声を人事に伝えたりすることはできるはずです。自分たちでできることはないか、考えてみてください。
派遣エンジニアの方とも良好な関係を築き、皆さんの会社がより発展していけることを祈っております。
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